浜木綿しぐれ

浮かれ鴎の あの人は
どこの港に いるのやら
おんな心の 海峡を
ひらり渡って それっきり
恋は一夜の 花火じゃないよ
肌にちりちり 未練が燃える
濡れて桟橋 浜木綿しぐれ

波の彼方に 消えたのか
風の噂も 途絶えがち
あんな男と 思っても
どんな暮らしか 気にかかる
化粧落とした 素顔が好きと
憎い言葉で 抱かれて泣いた
夢がそぼ降る 浜木綿しぐれ

沖のいさり火 帰るのに
海をながめて 待ちぼうけ
時化た夜には 想い出を
ひとり肴(さかな)に 酔いしれる
いいの名もない 港の花が
やせてやつれて 一途に生きる
惚れた弱みの 浜木綿しぐれ
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