ヤイヤイ

朝靄が鼻をつつく 木々の様子が騒がしい
頭の隅っ子の方で 夢なんだと分かってて
なのに獣くさい風が纏う
3回のクシャミで目が醒める
ここはどこなんだろうと一瞬ぼんやりする
またクシャミ鼻が疼く

ここは東京の中二階 天井の低い部屋
やたらと陽当たりのいい部屋
パンの焼けた匂い 煮立った味噌汁の匂い
少し開けた窓から白いカーテンが揺れる
これを本当の安心と呼べるなら
私に何が足らないんだろう
自由になりたいと願いながら 少し不自由な生活を選んでる
机の上のカギが音をたてた

また獣くさい風が吹いていたんじゃない?
もう捨てた筈の田舎に未練なんてあるはずないのに
勝手で無邪気な笑い声がする
なりたかった理想の私
本当は足早に逃げたかっただけなんじゃないの?

生きて ただ生きて
そしたら近づける
息のできる唯一の場所
そこで生き抜くしかないと悟った

凍ってしまった途切れた線路は この日差しで溶けただろうか
そこに張り付いていた私は そろそろここに戻って来るだろうか
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