タイトロープ

蜘蛛のように 巣を作るのは何故 透明な糸の中に 吐き出していく想いよ
君の声が 光に変わる度に 掠れた糸の先で 震えを隠す夕凪

足を滑らす 宙吊りのまま 次第に 目が眩むほど 透きとおる日々に

合図を待つよ ひと続きの独白を
飽きるまで繰り返す 嘘になっても構わない
意味を超えて 織りなす夢あべこべに
欲しがるのはいつも お話の始まりだけ

全ての夜に 確かめた跡 次第に 消えてゆくもの 巻き戻してみる

蜘蛛は逆さまの街に 目覚めて息を吸い込む
糸を巻きいつかの 幻だけを吐き出し

差し込む日差しすらも 変わらないものに変わり
決して落ちない姿 降る物語を 繋ぎ止めて
×