風待みなと

一夜(いちや)泊りの あの人も
波が静まりゃ 船を出す
ここは下田の 赤い灯がつく 風待(かぜまち)みなと
帰って来てよと 言い出せなくて
せめて笑顔を 餞(はなむけ)に

石廊崎(いろうざき)から 来たという
海の男は 甘えんぼ
飲んで騒いで つらさ忘れて 風待みなと
入船出船は 馴れっこなのと
涙見せずに 紅をさす

一期一会の 人だから
無事を祈って 酒を注ぐ
待てば嵐も きっとおさまる 風待みなと
折れそな心を 寄り添い合えば
伊豆の入江(いりえ)に 恋が咲く
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