九龍城にて待つ

話半分に聞いて
ついさっきに考えついたんだけど
まず一人の男がいて
貧しい暮らしから盗みを繰り返した
ある日忍び込んだ、拳法家の少女の部屋
中国四千年の歴史を喰らえとばかりにボコボコにされた

「小娘だからと侮るなかれ!」

チャイナへ行っちゃいな
そうしたならヘタレなあんたも
いくらかマシにはなるでしょ
なんかもうすでに帰りたいな...
間違えて弟子入りさせられたよ

九龍城にて待つ!

ついにその日は来た
辛く苦しい修行も
終わりを迎えたのだ
男は手放しに喜び出ていった
待て待て終わらんぞ
引き止める少女が言うには
最後の修行は
師匠である私を倒す事さ

チャイナへ行っちゃいな
その試験は香港のある場所にて
執り行われるから
最初の雪が降る頃に
私は待っていることにしよう

チャイナへ行っちゃいな
そんなもの知ったことじゃないさと
以来忘れきった男
冬が来て雪が降るも
少女のもとへは誰も来ないよ

チャイナ、チャイナ、チャイナ、チャイナ
何で
どうして
少女はしとどに泣いて待ち続け
男は自由に暮らしたよ
ひとつも悪びれないでさ
待つ人の気も知らんでさ
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