終電劇場

すり抜けるように人混みを
カリカリと歩いてく
向かいのホームも人だらけ
暑苦しいかぎりです
自分も大概だけれどさ
言っておきたいのだ
誰かを悪く言えば
助かるような

小さな国でも
僕は要らない人だ

明かりをともせ終電劇場
何が見えるだろう
言葉を照らす蛍光灯が
今日も笑っている

怒鳴る人の声がずっと
僕まで届いている
早く帰りたいなんて
ずっと考えている

この電車はいつの日も
ぎゅうぎゅう詰めだし
後から乗る人のことを
誰も見てない

小さな痛みも
僕は耐えない人だ

明かりをともせ終電劇場
何が見えるだろう
言葉を照らす蛍光灯が
今日も笑っている

環状線は見送って
自販機に小銭ねじ込んで
僕らはどこへ逃げ込んでいこう?
誰も見てない終電劇場
かなり滑稽で
舞台を照らす蛍光灯は

幕が下りていく終電劇場
ずっと見ていたよ
僕だけ照らす君の声が
今日も笑っている

笑っている!
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