少年と僕と、あなたの唄

砂埃巻き上げながら少年は走ってた
空高く打ち上げられた真っ白なボールを追って
あと少しで届きそう 思い切ってジャンプした
だけどバランスを崩して派手に倒れ込む

客もまばらな野球場 座った僕の隣には
くたびれたスーツのおじさん 野次を飛ばす

行く当てもないまま僕は この場所に迷い込んだ
晴れ渡る空の下で ゲームは続いてく

フェンス越しに眺めてた さっきのあの少年は
目に涙を溜め込んで それでも立ち上がった

僕も隣のおじさんもいつの間にかその少年に
遠い昔の自分自身をそっと重ねてた

いつからだったろう? 最初から何でも全部決めつけて
届きそうな夢さえも追わなくなったのは

やっと気付いて手を伸ばす

気がつけば隣の野次も声援に変わっていた
まるでいつかの自分に送るように

君も僕もそしてあなたも それぞれに戦っている
決して終わることのないゲームは続いてく
ずっと続いてく

少年はひとつ呼吸して また走り出す
ボールを追いかけて
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