June

雨がやんだ後の むっとした空気の中で
はじめて見る街の 景色にドキドキしてた
高いエントツと 機械油のにおい
生まれた街の 靴じゃ歩きにくいみたい

June 新しい街に来て 今
何もかもが 生まれかわる気がした
June 許されなかったウソも ユメも
もしかしたら やり直せるかもって
くちびるをかんだ

不安と武者ぶるいで いくつかの夜がすぎた
なんだかなじめなくて タメ息が夜にあふれた
母親はいつも 何かにイラついて
家の中にも 街にもうんざりしていた

June 夏が来る気配だけが もう
すぐそこにまで ちかづいてきている
June どこまでも続いてる 道を
後もどりして 居場所なんてもうきっと
どこにもないと思うんだ

June 雨上がりの街に 赤い
夕陽がおちて 工場のサイレンが響く
June 君に書く手紙には つい
“元気でいます”と 書きはじめたけど…
それでいいと思う
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