春仕度

逢いたかったと 抱きよせられて
うれし涙に めざめた夜明け
正夢(まさゆめ)に あゝなりますように
両掌(りょうて)合わせりゃ 梅一輪
紅もうれしい 紅もうれしい あゝ春仕度

ひどい仕打ちと 恨んだけれど
待っていたのね 心の裏で
あのひとが あゝ戻ってきたら
どんな貌(かお)して 迎えよう
ひとりはしゃぎの ひとりはしゃぎの あゝ春仕度

耐えてほゝえむ 軒端(のきば)の梅に
早く来い来い 夢鶯(うぐいす)よ
あのひとの あゝ好みのお酒
そうだ肴(さかな)は あれこれと
おんなごころの おんなごころの あゝ春仕度
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