土湯讃歌

吾妻の山の 雪どけすすみ
コブシ カタクリ クリンソウ
沼のほとりの 水ばしょう
二人っきりで たたずんだ
思いの滝の 水ぬるむ
忘れはしない あの春の日

吾妻の山の 緑を増して
キビタキ カッコウ ホトトギス
さえずる声も 緑の中に
二人っきりで たたずんだ
男沼(おぬま)・女沼(めぬま)の 風すずし
忘れはしない あの夏の日

吾妻の山は 青空高く
キノコ マタタビ ヤマブドウ
深山(みやま)の幸は 色づいて
二人っきりで たたずんだ
荒川の瀬に もみじ流れる
忘れはしない あの秋の日

吾妻の山の 白銀(しろがね)映えて
土湯の里は 湯にけむる
カモシカの声 こだまして
二人っきりで たたずんだ
こけし堂にも わたぼうし
忘れはしない あの冬の日
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