白鳥 (Swan)

翳りゆく世界に残された七色の記憶を
白鳥は黒い湖に溶かしていた
希望なんていらない 夢なんていらない
湖に映る自分の美しい姿だけ見てればいい
見てればいいの

ひとりぼっちでも
よろこびを天まで届かせることができる
ひとつだけ願いがあるとすれば
砂漠を歩いてみたい
そしてもうひとつ願えるなら
涙をこぼしてみたい

ひとりぼっちでも
よろこびを天まで届かせることができる

その夜 白鳥は美しく眠りについた
新しい世界の妖精たちに見守られて
月のかがやく湖に白鳥の涙こぼれてゆく
×