鈴鹿峠

どうぞ忘れて くださいと
わかれ蛇の目を 差し向けた
右は近江で 左は伊勢と
鈴鹿峠のョ てっぺんあたり
杉の木立に 目かくしされて
あなたを送った 去年(こぞ)の秋

赤い爪あと くっきりと
腕にのこした あの未練
枯葉舞い散る しずくに濡れて
鈴鹿峠のョ 木の根の道よ
先があるでしょ あなたの身には
あきらめきれずに 諦めた

坂の下では 晴れてても
胸はなみだで 濡れそぼつ
愛はふかまり 怖れたわかれ
鈴鹿峠にョ 馬子唄ひびく
おんな引き際 笑顔でいたが
土山宿にも 雨が降る
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