父さんへの手紙

昔 父さんが母さんとデイトした時
氷屋の前で父さんが言ったセリフ
私は外で待っていますから
あなただけ食べて来なさい

そんなおかしな父さんが
僕は困るけど好きだよ
同じ血が流れている

ねえ父さん、お元気ですか
あれから僕は歌を歌ってます
自分の中の手に負えぬ部分や
行き場のない悲しみや思いを

何一つわかってないけど
美しいものをつかみたくて
父さんにも聴いてもらいたくて

ねえ父さん、箱根奥湯本にいい温泉があるんだ
ねえ父さん、月を見ながら一緒に温まろうよ

相も変わらず僕は偏屈なので
人と同じ気持ちになれない
父さんの墓参りにも行かず
ぼんやりと空を眺めてます

暗い土の中に父さんが
眠っているわけはない
それぞれの心の中さ

ねえ父さん、あらゆる儀式はわざとらしく無駄で滑稽なものだよね
ねえ父さん、どうしたら僕は素直になれるのでしょうか

ねえ父さん、もっと打ち解けてしみじみと語り笑い合いたかった
ねえ父さん、また母さんと一緒に花火を見ようね
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