船頭小唄ものがたり

古い歌だが 俺は好き
船頭小唄は あの女(ひと)と
暮らした昔を 思い出す
俺は河原の 枯れすすき
同じお前も 枯れすすき
どうせ二人は この世では
花の咲かない 枯れすすき

白いうなじが 目に浮かぶ
船頭小唄は あの頃の
二人に似合いの 歌だった
死ぬも生きるも ねえおまえ
水の流れに 何変わろ
俺もお前も 利根川の
舟の船頭で 暮らそうよ

大正琴の トレモロに
船頭小唄は 流れてく
とどけよ我が歌 あの人に
何故(なぜ)に冷たい 吹く風が
枯れたすすきの 二人ゆえ
熱い涙が 出た時は
汲んでおくれよ お月さん
あゝ船頭小唄……
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