水の月

流れましょうか 月夜の舟で
二人戻れぬ 地の果てに
添えぬ運命(さだめ)の 着く先は
知っていました 始めから…
蒼い水面に 淋しく揺れる
あなた 儚い 水の月

盗みましょうか あなたのことを
そっと開いた 襟の中
いくら待っても 尽くしても
永遠(とわ)に心は 届かない…
一人面影 すくってみても
あなた 哀しい 水の月

浮かべましょうか 別れの月を
夢をそそいだ 盃に
頬の涙は 映るのに
何故に明日(あした)は 映らない…
指の隙間を こぼれて落ちる
あなた 冷たい 水の月
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