卒業試合

子供が出来たと お前からの電話
結婚なんて似合わないお前が
今ではおやじになる
学生時代は 暗くなるまで毎日
お前とラグビーボールを 追いかけ合った
ぶつかり合い飛び散る 汗の匂いと
グラウンドの向こうに 沈む夕日
今も忘れない

ダブルの背広が似合うように
なってきた俺は
生きる事の本当の意味
わかりかけてきた気がする

恋人はいつも お前と張り合った
お前の胸でねむるのは
俺が一番愛した人
いつもお前には かなわなかった俺が
最後の卒業試合に 50ヤードの独走
駆けぬけてゆく風と 近づくゴール
飛び込んだ時の 土の香り
今も忘れない

ダブルの背広が似合うように
なってきた俺に
思い出は哀しいくらいに
遠い輝き放っている

ダブルの背広が似合うように
なってきた俺は
生きる事の本当の意味
わかりかけてきた気がする
×