風ぐるま

生まれは路地裏の石屋の倅(せがれ)
偉ぶることもなく
怖じけることもなし
男には 黙して
ゆかねばならぬ時もある
人のさだめは 風ぐるま
微笑み 浮かべて
風の吹くまで昼寝かな

浮世の情けうけ東京(みやこ)に出たが
故郷の青空が
心の拠りどころ
国民(くにたみ)のためなら
雷にさえ打たれよう
人の命は 風ぐるま
涙は拭わず
風が吹くときゃ ただ回れ

遠吠えするくらい 犬にもできる
男の魂は
声なき叫びなり
人生は一回
後戻りなし 悔いもなし
人の心は 風ぐるま
慌てず騒がず
向かい風とておそれるな
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