あの日のワイン

ドアが開くたび
小さな鈴が鳴る
唇に当てたグラス
ふと手が止まる

次の季節には
名前も変わる店
思い出は 時を止めて
ただ消えてゆく

さよならを
くりかえす
あの日のワイン
終わらない
夜だけが
愛を深くする

君と来た頃の
時計の音がした
幸せがあふれていた
ただ遠い夏

さよならを
忘れない
哀しいワイン
抱き寄せた
愛がまた
傷を深くする

一度 灯したら
元には戻らない
キャンドルはその運命(さだめ)に
なぜ 美しい

さよならを
くりかえす
あの日のワイン
終わらない
夜だけが
愛を深くする

終わらない
夜だけが
愛を深くする
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