港の雨は女の涙

今度こそ 今日こそは
あなたを乗せた 船でしょうか
汽笛はいつも「おまえ」と呼んで
たどり着くのよ 桟橋に
傘も持たずに 港の雨に
ぬれて女は また涙

乱されて 泣かされて
面影探して もう三月
戻れる場所は 此処しかないと
云ったあの夜の 腕まくら
思い出させる 港の雨も
待てよ待てよと 降るばかり

風寒く 肌寒く
季節も変わる 冬仕度
暦につけた ×(ばつ)の字増えて
丸になるのは いつの日か
さわぐ心を 港の雨は
知るや知らずの なみだ雨
×