薄氷祈り

はらはらと散る花を
独り見つめていた
行く宛てもないまま
影だけが伸びてゆく

眩しくて混ざれない世界に
焦がれながら背いた日も今は遠く

耳を塞いでも
聞こえる君の言の葉
この薄氷の空を優しく照らす

手のひらで掬われた
雪の跡は消える
最後まで儚く
ひたすらに美しく

白すぎて穢(けが)せない世界も
明日はもっと愛おしいと思えるよう

絶え間なく光る
哀しみ凍る涙よ
いつか笑顔に溶ける想いを秘めて

繋がる心の温もりを
忘れないなら

瞼閉じる度
感じる記憶の向こう
この暗闇に浮かぶ景色は
鮮やかに染まる
未来へ続く世界で
ただ幸せを願う
薄氷祈り
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