無風地帯

冷たく乾く歩道に 落ちる影もない町
道ゆく人と同じように 知らぬ素振りのポーカーフェイス

灰色の空を刻む ビルだけが陽を浴びて
日々の暮しは いつになっても 合いも変わらぬプアマン・ブルース

誰か 話しかけてくれ 誰か 微笑んでくれ
時の流れだけが悪戯に
俺を置きざりにしてゆく 逆らうことの愚かしさ
嘲ざ笑いながら

風よ吹け 風よ吹け 俺の愛したこの町に
風よ吹け 風よ吹け 俺の愛したこの町に

夜更けのバーで独り ざわめきの渦に溺れる
見えない夢にあおられて 呑みほす強いジントニック

街角の女たちにゃ だるいブルースが似合うのさ
溜息が闇をすり抜けて 口ずさむのはホンキートンク・ブルース

誰か 答えてくれ 誰か 抱きしめてくれ
時の流れだけが悪戯に
俺を置きざりにしてゆく 醒めた顔した明日が
待ち伏せる中で

風よ吹け 風よ吹け 俺の愛したこの街に
風が吹く 風が吹く 俺の心の中にだけ

風よ吹け 風よ吹け 俺の愛したこの街に
風が吹く 風が吹く 俺の心の中にだけ
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