風が吹いていた

風が吹いていた
雑踏だらけの街角に 淋しい心がよこたわる
俺は路地にもぐり込み 背中をかくして歩いた
明日なんかこなけりゃいい 叫んだ声が昨日に消えた
過ぎゆくだけのこの街で 俺は女と酒をのむ

風が吹いていた
心一面 海が満ち水平線に陽が沈む
どこまで泳いでいったって水平線はつかめない
女はいつも悲しいもんで 男はいつも淋しいもんさ
秘密をわけた女の顔が 俺の心にぶらさがる

風が吹いていた
頭の中は冬の荒野 黒くカラスの群れがとぶ
時が俺にくれたのは 前に進む苦しみばかり
考えばかりが目の前はしり 体はいつものりおくれ
二人は風に追われてた だから北へ旅に出た
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