灯がともる

遠く離れた 故郷(ふるさと)を
思い出すたび お袋(ふくろ)の
くれた言葉が 身に沁みる
痩せた背中で 手を握り
苦労汗する 泪は
糧(かて)となる

風の寒さや 冷たさを
知った素振(そぶ)りの ひとり旅
何時(いつ)か流され 闇の中
心細さの なぐさめは
郷土(つち)の匂いの 洩(こぼ)れる
裏通り

肩を寄せ合い 注(つ)ぐ酒に
苦さ浮かべて 飲み干せば
問わず語らず 眼が笑う
他人(ひと)の情(なさ)けが 温(ぬく)もりが
荒(すさ)ぶ心に 明日(あした)の
灯(ひ)をともす
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