リベラ

身体を糸に繋いで操ってしまいたい
私はいつも不完全を謳歌している
見えない壁を恐れて手探りで一歩
どこまでも続く隘路に迷い込んだようだ

揺蕩う思いを少しでも突いて
ふいに転んで傷を付けて
支えていた手のひらが
今も波打つ水に映る

この先何年でも枯れない思いは
私をずっと人間たらしめるから
胸の奥深く誰も見えない箱へ
今だけは全て忘れさせて
思い出に壊されてしまうから
仄暗い空蠱惑に彩る

頭を過る言葉はふうせんのように
手を離せばもう色すら思い出せない

重ねてきた傷だらけの哀
剥き出した灰色の情景
それでもまだ軋む寄る辺
今も飽くまで此処に縋る

暮れ泥む空と踊る調べ
十字路で光り続けているのは
嫌うことを恐れているだけ
止まらない涙が溢れても
胸の空洞に吸い込まれないで
いつまでもそのままでありたい

これ以上にないほどに尊い
落としたものも数知れない
それでも知ってしまったんだ
他でもない自分のことを

ありふれたものは何処にもない
知れば知る程全てが難解で
何もかも捨ててしまいそうになる
今だけは全て忘れさせて
きっと忘れることなんて出来ないから
見えることのない光を望んだ

この先何年でも枯れない思いは
私をずっと人間たらしめるから
胸の奥深く誰も見えない箱へ
今だけは全て忘れさせて
思い出に壊されてしまうから
私のことだけを見つめて
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