涙の子守唄

夢に見ました 今朝もまた
枕濡らして 目が覚めました
我が子の幸せ 祈って耐えて
可愛い盛りに 手放した
あぁ母と名乗れぬ 宿命(さだめ)でも
歌ってやりたい 子守唄

あの娘にだけは幸せになって欲しい。
逢いたい、でも逢ってはいけない…
せめて、あの子守唄だけは忘れないでいてくれますか…

そっとこの手に 抱き取った
母の喜び 忘れはしない
何歳(いくつ)になったと 指折り数え
逢えないつらさに 口ずさむ
あぁ遠い夕暮れ 路地裏で
背中に聞かせた 子守唄

ある日のことでした。どこで聞いたのか、
あの娘が突然私を訪ねて来たんです。
びっくりして何一つ気の利いた言葉もかけてやれず、
それどころか邪険に追い返してしまいました…。
でも本当は、あの娘を抱きしめてこう言ってあげたかった。
「綺麗になったね。どうかこれからも、幸せにね…」

かげで見送る 晴れの日の
目にもまぶしい 花嫁姿
尊い育ての 両親(ふたおや)様に
涙で両手を 合わせます
あぁこれが最後の 見納めと
心で歌った 子守唄
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