山国の歌

朝もはよから 遠音にさえて
杉もきり出す おのの音
もずが鳴くとて 鳴かぬとて
どうせさか山 さか落とし
いかだに組んで 

わたしゃいかだ師 お前は木こり
いつも木の香に むせぶ仲
花が咲こうと 咲くまいと
木やりくずしで 日を暮す
浮世のそとの 雲と風

月ものぼるか 月ものぼるか 山ぎわ染めて
甲斐と武蔵の 国ざかい
×