ひめゆりの塔

首途(かどで)の朝は 愛らしき
笑顔に 母を振りかえり
ふりしハンケチ 今いずこ
あゝ沖縄の 夜あらしに
悲しく散りし ひめゆりの花

生れの町も もえさかる
炎の底に つゝまれて
飛ぶは宿なき はぐれ鳥
あゝ鳴けばとて 鳴けばとて
花びら折れし ひめゆりの花

黒潮むせぶ 沖縄の
米須の濱の 月かげに
ぬれて淋しき 石の塚
母呼ぶ聲の 永久に
流れて悲し ひめゆりの花
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