夜しか泳げない

扇風機はカタカタと 煙った空気をかきまわして
テレビは今じゃあまり見られない 砂の絵を描いてる頃
にわとりの代わりに ざわめきが朝を教えてくれ
ここで暮らすほとんどの人に 気にかけてもらえない空に
太陽が入ってくる

夜しか泳げない魚は 影を連れて歩かない
だけど 光だけが光じゃないことだけは 太陽より知っている

アルコールとニコチンでもたれた血を シンデレラでとばし
グラスの中にきれいさっぱり消えていく氷に 憧れたりする
いったい何をはっきりさせようとしたんだ 手のひらは言い
秒針にはりついたって 俺とは踊れないよ
時計は言う

夜しか泳げない魚は 影を連れて歩かない
だけど 光だけが光じゃないことだけは 太陽より知っている

消された街の真珠は 皺だらけの顔に戻り
いろんなホタルたちが 羽をたたみ地面へ降ってきた
今夜の儲けとツケを 破けたポケットにつっ込んで
あくびに肩を抱かれ、反対側のホームに立つ

夜しか泳げない魚は 影を連れて歩かない
だけど 光だけが光じゃないことだけは 太陽より知っている
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