お忍・恋やつれ

惚れたあたしが わるいのか
惚れさすあんたが 罪なのか
流す新内 三筋の糸に
のせた口説きが 身にしみて
燃えた名残りの みだれ帯
お忍(しの)はやつれて しまいます

男まさりも 恋に散る
散るのが花だと いうあんた
添えるひとなら 悩みもせぬに
しのび逢うたび 深くなる
女ごころを なんとする
お忍はやつれて しまいます

恥も身上(しんしょ)も 投げ捨てて
あたしのあんたと 叫びたい
情け深川 お不動さまの
角で別れた そのついで
足が向きます 願掛けに
お忍はやつれて しまいます
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