キスポジション

シーズンまで
待ちきれずに海に来た
人影のない
5月の砂浜

波打ち際
指の先で触れてみた
声 上げるほど
まだ冷たかった

あなたは近くで
笑ってる
ジーンズのポケット
両手を入れて…
「君はせっかちすぎるよ」と
あきれているけど
ちゃんと理由(わけ)がある

真夏の恋の予約を
させてよ
早くしないと
混み合ってしまう
だからあなたと二人で
下見したかったの
最高に素敵な
キスポジション

水平線
交わってる空と海
サーファーたちが
波を独り占め

スニーカーを
ここで脱いで走りたい
素足になったら
風邪をひいちゃうね

映画を観たいと
言っている
時計を気にする
ふりをしながら
「梅雨が明けたら来ようよ」と
私の隣で
ポツリつぶやいた

真夏の恋の準備を
させてよ
流行りの水着も
買いに行かなくちゃ…
どこに太陽沈むか
見ておきたかったの
夕焼けがキレイな
キスポジション

真夏の恋の予約を
させてよ
早くしないと
混み合ってしまう
だからあなたと二人で
下見したかったの
最高に素敵な
キスポジション
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