風になる

時速80 君の背中で風になるつながっている腕だけが今
やみくもに我を愛する人もいて似てもにつかぬ我を愛する
手紙には愛あふれたりその愛は消印の日のそのときの愛
きみのため空白なりし手帳にも予定を入れぬ鉛筆書きで
ただ君の部屋に音をたてたくてダイヤル回す木曜の午後
鳴り続くベルよ不在も手がかりの一つと思えばいとおしみ聴く
何してる? ねぇ今何を思ってる? 問いだけがある恋は亡骸
あなたにはあなたの土曜があるものね 見て見ぬふりの我の土曜日
書き終えて切手を貼ればたちまちに返事を待って時流れだす
鳴り続くベルよ不在も手がかりの一つと思えばいとおしみ聴く
真青なる太陽昇れ秋という季節に君を失う予感
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