だんだんだめになっていく

やっと越した南向きの5階の角部屋も昼間仕事じゃあんま意味もない
冬の夕陽だけワンルームを斜めに横切って
玄関の赤いピンヒールまで伸びてる

1枚2枚3枚って田舎から届く宅急便の不在通知荷物は何時手元に

やだ 髪の毛の煙草のにおい とれない
だんだんだめになっていく
なれない

冷蔵庫の扉強く閉め古い牛乳パックからだらり流れた白いそれが
食べられるの厭きられてずっと忘れられたままの
湿った黒い海草サラダそめてる

1個2個3個って放っとかれている食べられかけのプリンの歯形はまだとれない

「ねえ たまごって放っておいたら ひよこになっちゃったりしない?」

やだ へやの中 わたしのにおい とれない
だんだん だんだん だめになっていく
いけない

やだ あたまの中 あなたのにおい とれない
だんだん だんだん だめになっていく
ぬけない
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