真昼間の獏

あなたの白さは とても 軽くて
言葉に乗せても まるで疲れない
あなたのせかいはいつも 迷路で
そんなところも とても 嬉しい

真昼間の夢のなかを ゆらぎながら
このまま こうしていてもいい
そんな 気持ちになって
夢は獏に 獏は俺に食べられている夜明け前

家があり 部屋があり イスがあっても
そこには もう 俺はいないから
仕方がないので外へ出て
行き場のないところばかり捜して

まんなかくらいのゆるい生活の中
弄ばれてみたい気もする
そんな小さな夢を見た

あなたの一番 深い海で
防波堤を越えた波に
隠れていた俺は浮ぶ
抗えない舟のように

あなたの黒さはとてもキレイで
冷たい言葉の中身もなく
ひき裂かれてゆく 蜃気楼のベエル
それは ちぎれた 俺のかけら
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