僕は兵隊

僕は兵隊 日曜の外出も
トッテチッテトッテチッテ ラッパが鳴れば
貴女を振り切って 帰らにゃならぬ
私は娘 年頃なのよ
お琴に生け花 嫁入り支度
日曜に一ぺん ランデブーじゃ
ちょいと可哀相
二人は若い 恋を語ろう
ピヨピヨと ポカポカと
平和の春が なんでも楽しい

「私、兵隊さんとは結婚しないわ。
日曜に一ぺんのランデブーなんて、
意味ないわ」
「フフン。よし。
もし、下土、下士官だったら」

僕は下士官 威張ったもんです
兵隊を 殴っても蹴っても 文句は言わぬ
貴女にも時々 逢えるじゃないか
威張った人を 私は大嫌い
殴ったり蹴っとばしたり 兵隊が可哀想
時々逢うんじゃ 私は可哀想
二人は若い 恋を語ろう
ピヨピヨと ポカポカと
平和の春が 何でも楽しい

「私、下士官は結婚しないわ。
だって、毎晩逢えないんですもの」
「よ、よ、よし。
それじゃあ、将、将、将校になったら」

僕は将校 毎朝ご出勤
正門通れば 「担げ銃!」
毎晩六時にゃ ちゃんと帰る
将校はスマートで お金の回りがいい
戦争がなければ 素敵なサラリーマン
私が好きなの 無理ないでしょう
二人は若い 恋も語ろう
ピヨピヨと ポカポカと
平和の春が 何でも楽しい

「へへ、どう」
「ダメだよ。あんたまだ二等兵じゃないの」
「トホホホホ」
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