エノケンの月光価千金

美しい人に出会ったときは
やさしくしとやかに膝まづいて

にやにやと笑って手を握りなさい
大声あげず逃げ出さないならば

あ、ら、まいけすかない人ですわね
「まあおよしなさいましよ」

てな事を言ったて もう大丈夫
彼女はわたしの両手を待ってます

美しい人に思い込まれて
朝から晩まで愛のささやき

にゃーと鼻声でいちゃつく時は
小鳥も子猫もこれにゃ顔負けだ

お、お、胸が燃えるいとしいお前
「まあ決まりが悪いわよ」

あかつきの秋風が身にしみじみと
二人の愛の巣は夢だった
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