箒星の余韻

滲んだ声を彩る
あなたが零す笑みに救われて
笑えたんだ ほら

満天の星屑を背に
石畳階段降りてく
傘地蔵が灯籠に揺られ
笑みを不気味に浮かべ

鈴の音聴こえて
空を仰いだら
未来まで飛びそうな
尾をのばす星の群れ

息を止めとっさに何度も願った
普通だらけのあたしも連れていってよ
おいてかないで

心が幾つあって
言葉が幾つあっても足りない
目の前に映る一瞬も見逃せなくて
滲んだ声を飛ばして
いつかあたしも輝けるかなって
願ったんだ
胸が踊ったんだ

満天の星屑を目に
石畳階段登ってく
僕の心も吸い込まれそうな
深い空だ

鍵が落ち 鈴響く
慌てて拾って
ふと見つめた先の
空を仰ぐ少女に

息を呑み必死に隈無く見つめた
なぜか重なる真剣なその表情が
胸に刺さるんだ

心が幾つあって
言葉が幾つあっても足りない
目の前に映る一瞬も見逃せなくて
君がそう望むなら
ねえいいよ
連れてってあげる
手をだして
ほら

星が降り注ぐ
手をつなぎ息を切らす
石を駆け上がる音と
零れた笑みが重なる

ねえ 輝いてるよ

初めてなの
生まれて初めてだから
こんなあたしにそんな事言ってくれたのは
奇跡なんかじゃもう
足りないんだ

心が幾つあって
言葉が幾つあっても足りない
声になりそびれた一雫頬を濡らした
滲んだ声を彩る
あなたが零す笑みに救われて
笑えたんだ
胸が踊ったんだ
目の前の世界が
ねえ 輝いてるよ
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