月が誘う

月が誘う 夜の遊び
追いかけるわたしから 逃げてごらんよ
世界はただ がらんとした
道もない 壁もない 何もない迷路

走りだせばいい でも走りだせない
月が頭の上で ケラケラ笑う
自由なのに きみはそんなにも

逃げてごらん さあ今すぐ
逃げなくちゃ追えないよ 月がささやいた
だけどきみは とまどうだけ
道もない 壁もない 何もない迷路

どこへでも行けるから どこへも行かず
誰でも愛せるから 誰も愛さない
いつもきみは 同じ場所にいる

「時間は無限にある」きみはつぶやく
「あわてずに思い出せ あの日の地図を
子供の頃 誰かにもらった…」

そんなものは どこにもない
みせかけのガラクタで
ごちゃごちゃのポケット
月はきみを まだ待ってる
ほらきみの心臓を ころがしはじめた
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