港のカラス

憎い恋しい あの人は
わたしに何も 云わないで
アラビア文字の 貨物船
日暮れに乗って 行っちゃった

港カモメの 群れのなか
わたしはカラス 赤い目の
夕焼け色の 電柱で
あのひとそっと 見送った

昔 異人さんに 連れられて
少女も船に 乗ってった
行ったら帰る あてもない
昔も今も 横浜は

山で暮らせば いいものを
街まで来たら 捨てられた
今夜もひとり 止まり木で
カァーカァー泣いて 飲むだけさ
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