もう少しだけ

残った雪を ふたり 踏み歩いてた
駅のホーム 最後の 見送りをした

気を利かせた笑い話も できず
行き交う人波を 眺めていた

ふたりの沈黙を裂くように
最終列車のアナウンスが 響く
零れかかった涙を拭ったら
最後の想いを言葉に

もう少しだけ もう少しだけ
閉まるドアの向こう
下向いたままの君
もう少しだけ もう少しだけ
発車のベルにかき消された君の声
今はもう…

雑音にまみれ ひとり 列車に揺られながら
どこか遠くへ ひたすら 向かっていた

こらえきれずに ほろり 涙流して
滲み霞んだ 世界を 眺めていた

丸まった背中をさするように
月の光があたたかく僕を照らす
同じ月を見て 同じことを思って
君も涙を流すのかな

もう少しだけ もう少しだけ
ずっと一緒に居られると思っていた
もう少しだけ もう少しだけ
君を守るのは僕だと思っていた
だけどもう…

君がくれた言葉
君がくれた優しさ
君がくれた景色
君がくれた今の僕
君がくれた笑顔
君がくれた「愛してる」

二度と会えない そんな気がして
頬を伝う雫 拭う気にもなれないな
二度と会えない 君はいない
今も耳に残る ふたりを繋いだ唄
今はもう…
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