おんな霧笛町

つらくなったら 迷わずに
北国へ 来いとみだれ文字 みだれ文字
その手紙あたゝめて 海を越えたのに
迎えてくれない あのひとよ
あゝ桟橋がわたしを泣かせる 霧笛町

鴎 おまえにゃ わからない
いのちさえ捨てる 恋ごころ 恋ごころ
遠くまでよく来たと 抱いてほしかった
おさえる涙が 張りさけて
あゝ指に散る海鳴りばかりの 霧笛町

赤い鞄(かばん)が ひとつだけ
ゆきずりの 宿のたよりなさ たよりなさ
窓にみる漁(いさ)り火が せめて道しるべ
お酒よ情けが あるならば
あゝあの人に逢わせてください 霧笛町
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