紅帯

襟あし きれいに 剃(そ)ってねと
湯あがりに うしろむき
わたし あまえて くらしてた
未練の深さよ やるせなさ
きょうもこの手に 触(ふ)れるのは
あなたが好きな あなたが好きな 紅のつゞれ帯

さだめか ふたつの 落ち椿
奥伊豆の 旅のやど
雨にしくしく 濡れていた
あなたのためです わかれます
酒のちからで 切りだして
ほどけば絡(から)む ほどけば絡む 紅のつゞれ帯

幸福 どうして ふしあわせ
たゞ細く やせた顔
鏡にうらみ ないものを
空似のお方を ふと見れば
居ないあなたに 逢いたくて
なみだでしめる なみだでしめる 紅のつゞれ帯
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