城崎夢情

川面(かわも)に映した ふたりの影が
ひとつに重なる いで湯町
浴衣に着がえた おんなの胸が
あなた欲しさに また炎(も)える
雨の城崎(きのさき) 湯の香り

添えない男性(ひと)でも 私はいいの
許してください 我がままを
やさしいあなたに 手まくらされて
夢をみたいの ひと夜だけ
情け城崎 かくれ宿

朝の鏡に あなたの背中
涙をかくして 別れ帯
柳の並木で 肩抱くひとも
汽車に乗ったら 他人です
みれん城崎 名残り雨
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