鈍色の青春

コルクボードに貼りつけた恋人の写真がずりおちて
こちらはかえって好都合あわせる顔などないのです
キャラメルコーンの袋の中きっとこんな感じでしょう
背中が小さく丸まって最終電車に想うのです

カーテンからはみ出した夕陽の真っ赤
この侘しい直方体をぶった切っていく様を
しばらくは黙って見つめていたのですが
とうとうこみあげてくる感情を抑えきれなくなり
私にとってもはや禁句とさえ思えるその一言を
思わず口にしてしまったのです

「生きてもないのに、死んでたまるか!」

血迷ったおばちゃんのヘアカラーに似た夜明け前の混沌に口笛を浮かべれば
ミスマッチかと思いきや なかなかどうして すんなり溶けるのです
友よ、叶えた輝きに満ちている頃だろう
友よ、締めた悲しみがそっと癒えた頃だろう
私のこの今さらながらのバカバカしい武者震いを
笑ってやってくれないか‥‥

気まぐれに開いたノートブックの真っ白
くやし涙と同じテンポでこぼれ落ちる言葉たちを
みるみる吸いとっていく様を
しばらくは黙って見つめていたのですが
とうとうこみあげてくる感情を抑えきれなくなり
私にとってもはや禁句とさえ思えるその一言を
思わず口にしてしまったのです

「生きてもないのに、死んでたまるか!」
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