ルイ

並木通りにある小さな画廊の飾り窓
痩せた女のデッサンが
朝の銀座をみつめてる

その娘の名前はルイといい 酒場に務めていた
気だてのいい娘で浮いた噂の一つも聞かない娘だったが
ある日絵描きのタマゴと恋に恋に落ちたよ

はたで見るのも意地らしく 男につくしていた
「きっとあの人はえらくなるわ」と口ぐせみたいにくり返し
飲めぬお酒を無理矢理飲んで みつぎ続けた

男はまもなくフランスへ 一人で旅立った
後に残されたルイは そのうち深酒かさねる日が続き
彼の帰りを待たずに一人死んでしまった

やつれた瞳をして三月後戻った恋人は
お金をかき集めルイという名の小さな画廊を開いたよ
いつもあの娘がどこより好きと言ってた銀座に

並木通りにある小さな画廊の飾り窓
痩せた女のデッサンが
雨の銀座を見つめてる
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