二十歳

私がね
二十歳の時にはね
着物を着ていないの
写真も一枚もないの

みんなはね
髪を結い化粧して
この世で一番幸せそうな顔
私はどこにもいないの

いつの日か 娘ができたなら
着せてあげるんだ
誰にも負けないくらい
綺麗な綺麗なやつを

誰にもね
言えなかったこともある
いつの日かあなたに話そう
きっと私に似て
不器用だろうから

あなたがね
二十歳になったらね
連れてきた彼氏と
みんなで写真を撮ろうね
何枚も

いつの日か 娘ができたなら
着せてあげるんだ
誰にも負けないくらい
綺麗な綺麗なやつを

あなたがね
一人苦しむ時はね
壊れそうなその心を
私が必ず守るから

いつの日か 二人で行こう
満開の桜の木の下で
誰にも見せない顔で
微笑むあなたが見たい
誰にも見せない顔で
微笑むあなたが見たい
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