舞化粧

女ごころの 煩悩(ぼんのう)は
何で拭いたら 取れますか
灰になるまで 燃えるのが
憎い女の 性(さが)ですか
いまは他人の あの人が
忘れられずに 薬王坂(やっこうざか)
転びながらも ひとり越え
冬の鞍馬の雪に舞う ああ 未練舞い

百と八つの 鐘の音は
迷い断ち切る 音ですか
消えぬ時には 私だけ
鐘を撞(つ)かせて くれますか
浮いた浮いたの 木屋町の
恋はひと夜の 冬桜
雪に散り敷く 徒花(あだばな)と
承知しながら後を引く ああ 乱れ舞い

みれん走り根 木の根道
草履取られて 足袋はだし
幹にすがって 立ち上がり
暮れの貴船(きぶね)の雪に舞う ああ 女舞い
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