星のとなりの空け者 ~織姫~

彼は行ってしまった 天の川の向こう側
約束の日は一度も晴れたことがない
神様のいじわるに抗う方法を探して
カッパという妖怪が川を渡れると知った

だけどカッパは滅多に見つからない
とんでもないレア妖怪
困り果てたある日街外れで
妖怪の群れに遭遇した

妖怪たちが靴ひも結べなくて泣いてる
ママにやってもらったのがほどけて泣いてる
アホすぎて不憫で教えてあげたら
すごい!やけに懐く!グイグイくる!

そのような経緯で設立しちゃいました
泣く子も滅ぶ妖怪派遣会社
低脳妖怪なんざ低賃金で使っても
たまにガムでも与えれば大喜びで働いた

社員の個性(妖術)を生かした営業(脅迫)
政治家とも仲良し(癒着)
天の川を渡るってサイエンス・フィクション?
経営の方が大事だろ!

妖怪たちが食券買えなくて泣いてる
食券というシステムを理解できず泣いてる
こんなとこに経営の落とし穴があるとは!
社食が丸々無駄じゃねーか!

そんなアホな会社の評判を聞きつけて
一匹のカッパが面接を受けにきた
カッパって何か引っかかる気がする
たしかずっと探していたような

七夕の夜 カッパに依頼する
会えない辛さに目を逸らしていた
何かに夢中になって誤魔化した
だけど今は願う 彦星を連れてきて

カッパは大きく頷いて
「任せてください」と言った

どうして彦星をボコボコにしてんの!?
デッドオアアライブって発注したっけ?
お前も例に漏れずアホ妖怪か!
帰りはやけに遅いのにパンチは早いのな!

彦星がノビていた
昔より大人になって
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