ある楽団員の回想

その日の天候を概略的に述べるならば
曇り ところにより晴れ
青い青い 真っ青な
抜けるように青い空
その空を分厚い雲が全て覆い尽くし
曇り 概略的に
昼だというのにあたりは夕暮れのように暗く
大気は砂漠の砂の色に よどみ 輝いていた
そんなありふれた日常の中を
わたしたちはある朝
ムガール帝国から船で旅立ち
ミシシッピ川をさかのぼり
ソレントに着いたのだという
なぜだろう
何も覚えていない
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