男涙の子守唄

木枯し寒く 夜は更(ふ)けて
月はさゆれど 身は悲し
坊やよい子だ ねんねこしゃんせ
声も涙の 貰い乳

斯身(このみ)飢(うゅ)れば斯児(このこ)育(そだ)たず
斯児(このこ)棄(すて)ざれば斯身(このみ)飢(う)ゆ
捨(すつ)るが是(ぜ)か捨(すて)ざるが非(ひ)か
人間(にんげん)の恩愛(おんあい)斯心(このこころ)に迷(まよ)う

しあわせ薄く 生まれ来て
なにを夢むか いとし子よ
坊やよい子だ ねんねこしゃんせ
泣けば心も 乱るるに

世に亡き妻の 名を呼べば
胸にしみ入る 鐘の音
坊やよい子だ ねんねこしゃんせ
男涙の 子守唄
×