花つくばい

別れを迷う 冬の夜
時計の針が 無情にせかす
愛し愛され 燃えつきて
このまま死ねたら いいものを
化粧を直す 薄明かり
背中の向こうに あゝ 夢の跡

二人の恋の ゆく末を
祈ることさえ できないさだめ
隠し通せる ものならば
一生 二人で生きてゆく
眠れぬままに 窓開けりゃ
遠くにかすむ あゝ 天主堂

いけないことと 知りながら
守りぬきたい 女の純情(こころ)
今すぐあなたの その胸に
すがって泣きたい 抱かれたい
涙でさした 蹲(つくばい)に
咲かせた花は あゝ 島椿
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